バンド活動も講師活動も、僕にとっては同じ音楽活動
ミュージックスタイリスト (ボーカル) 河野 健太郎
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「音楽が楽しいと腹から思えた」これまでの経歴とEYSとの出会い
ーーEYSで講師をされるようになったきっかけを教えてください。
もともとはバンドとしてミュージシャン活動をしていました。新宿でのストリートライブに300人くらい集まってくださるようになった頃、当時宇多田ヒカルさんのプロデューサーだった方のお目にたまたまとまり、デビューさせていただくことになったのですが、技術がなく情熱だけで世に出てしまったために、挫折を経験。そこからボーカルや作詞作曲の勉強をがむしゃらにやって、ここまで10年以上突っ走ってきました。
そんな折、たまたまEYSに講師として在籍していた僕の弟子にあたる子が声をかけてくれたのが、EYSと出会うきっかけでした。「絶対向いているから。河野さんみたいな人が求められているから。」とすすめてくれたんです。
はじめは、「人様に歌を教えるなんておそれ多い」と思っていたんですが、EYSのコンセプトに共感し、やってみようという気に。EYSでは、原則として“教典”的なカリキュラムや教材がなく、それぞれの生徒さんが叶えたいゴールや趣味嗜好に合わせて、自分らしい音楽との向き合い方を実現するためプロデューサー的な役割が講師には求められます。もちろん、それは簡単なことではないので、採用時には新人講師研修が徹底的に行われ、体験レッスンや体験後の入会案内の手順などもしっかり教え込まれました。厳しい研修を受講・修了した講師として、力量や技術を信頼していただけるのはとても光栄なことだと思っています。
ーーいつ頃から音楽活動をされていたのでしょうか?
実は、幼い頃はパイロットになりたかったんです。航空大学校に通ったのですが、ちょうど「9.11」のテロが起きて航空業界が新規の採用を控えた時期と大学校の卒業とが重なってしまって。
もともと音楽が好きだったので、持て余した時間に、歌本を見ながらギターを爪弾き始めました。やがて音楽に夢中になり、「やっぱり音楽が楽しい」と腹から思えて、こっちの世界に飛び込んだのが27歳のとき。思えば、パイロットを目指しながら違和感のようなものはずっと感じていたんですよね。そんな強烈な記憶があるからこそ、今も心から音楽を楽しめているのかもしれません。
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「他の講師さんとの競争意識はない」MSL講師としての矜持
ーーEYSの評価資格制度、MSLで高い評価を得ていると伺いましたが、MSLとはどのようなものですか?
MSLは、講師の資質を問う資格制度です。公平かつ適正な査定内容が設定されていて、毎レッスン後に生徒さんからいただく監査評価だけでなく、体験レッスン後の入会率や「EYSメソッド」によって生徒さんにライブ出演を楽しんでいただけたかどうかも重要な指標になっています。服装など、評価資格の剥奪に関わるルールも明確にあるので、気が抜けないですね。
ーーMSLの評価次第で報酬も変わってくるのでしょうか?
そうですね。MSLはS、A、B、C、D、Eの段階評価。最初はMSLが付かない状態からスタートし、3ヶ月に1回のペースで査定が行われます。一般的には半年くらいでE評価となる方が多いそうですが、僕の場合、ありがたいことに最初の3ヶ月でE評価を、さらに次の3ヶ月でS評価をいただきました。努力を認めていただけていることを実感しています。時給に換算すると、3,000円近くいただいていることになるでしょうか。
ーーすると他の講師の先生とのあいだに競争意識が芽生えそうですね?
「生徒さんを奪い合う世界」だといわれるからこそ、僕は他の講師の方々とも円満な関係でいたいと思っています。講師同士の対抗心や競争心のようなものが伝わってしまうと、生徒さんが殺伐とした空気を感じてしまい、レッスンを楽しむことができなくなってしまいますからね。
少なくとも、僕には競争意識はありません。実際、EYSの雰囲気が気に入って、バンドメンバーをEYSに呼んだくらいですから。
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「バンド活動と講師活動、どちらも音楽活動」講師の仕事に全力で取り組める理由
ーー講師になられて、ミュージシャンとしての活動にどんな影響がありましたか?
EYSと出会うまで、実はコールセンターのアルバイトで毎日お客様対応に力を注いでいたのが、今は一日中、歌のことだけ考えていられる。生徒さんと一緒にボイストレーニングできるわけですから、いいことしかないですね。
自分自身のスキルアップにもつながっていて…。ともにEYSで講師をしているバンドメンバーを見ていて思うのですが、演奏技術が磨かれるだけでなく、音楽人としての幅が広がっていくのがわかります。この前も、「ボカロをやってみたい」という生徒さんがいたそうで、必死にボカロを研究していました。僕の場合は、作曲にも役立っていますね。僕のなかでは、バンド活動と講師活動、どちらも音楽活動。まったく垣根がないから、どちらにも全力で取り組むことができているというわけです。
ーー今後はどんな講師を目指したいとお考えですか?
僕はこれまで7名のボイストレーナーに師事しましたが、なかには悪いところを見つけてガミガミいうだけの方も…。なので、どちらかというと、音楽教室は音楽の楽しさを教えてくれる場所じゃないというイメージを持っていました。
確かに、プロを目指すのであればそれでいいかもしれませんが、趣味として音楽を楽しみたいという方に対して、上手くなることだけを目指して注意するだけっていうのはおかしい。「音楽って楽しい、歌って楽しい」と思っていただけることを僕は目標にしています。
僕がいちばん大切にしているのは、生徒さんの人生に自分が本気で関わって、ハッピーにして差し上げたいという気持ちです。どうしたらそれが実現するかだけが関心事で、他の講師の方と張り合う気持ちも、余力もありません。「歌って楽しい」と生徒さんに思っていただくきっかけを提供できるような講師になりたいですね。