40年間、現場で培った経験をレッスンで教える日が来るなんて
ミュージックスタイリスト (サックス) 伊藤広晴
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講師になるまで、サックス・プレイヤー1本で食べてきた音楽人生
ー伊藤先生のご経歴について教えてください。
中学からブラスバンド部でサックスをはじめました。その後、音楽大学を目指して、芸大の先生についたりしていましたね。その後、クラシックを中心に音楽の専門学校で勉強し、そこでジャズに出会いました。卒業後にアルバイトしながら、色んなリハーサル・バンドの演奏をやっており、その時に松本英彦氏(世界的なテナーサックス奏者)のオーディションに合格して、気に入っていただき弟子として活動していました。そこから毎月ギャラをもらいながら、音楽家として食べていくことができており、その後は色んな事務所で活動していましたので、講師になるまではサックスプレイヤー1本で食べてきました。
当時は八代亜紀さん、五木ひろしさん、小林旭さんなど、多数のアーティストの演奏に参加させてもらってました。ツアーやコンサート、テレビでの演奏など、40年間さまざまな現場を渡り歩いてきました。
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フリーランスになり、プロを続けるために選んだのがEYSの講師
ー長年現場で活躍するプレイヤーから、講師の仕事を始めたきっかけは何だったんですか?
小林旭さんのバンドの事務所が変わったことがきっかけで、本格的にフリーランスの音楽家になったんですよね。定期的に呼ばれるイベントはありましたが、その時の専属バンドな活動だけでは食べていけなかったので別の仕事を探していました。これまで社会経験が無かっため、派遣バイトの現場に行ってみたんですが、約9ヶ月で膝を崩してしまったんですよね...。激しい労働ではなかったんですが、それまで長く座って演奏する機会も多くて足腰が弱っていたんでしょうね。そこから働きたいけど、働けない期間が続き、もやもやしていた頃にウェブでEYSの求人が目に留まり、そこから講師として働くことになりました。
ー実際に働いてみてどうでしたか。
最初はあまり講師業に注力していなかったんですよね。それも、自分はサックスプレイヤーの仕事を主としていたので、本末転倒にならないようにしていました。あまりコマを開けていなかったのですが、暇な時間にもう少しレッスンを開けるようになると、あっという間に埋まって、今では多くの生徒さんに教えるまでになりましたね。
講師のレッスンスケジュールは生徒さんとの調整ができていれば、融通も効きやすいのが特徴です。そのおかげで、自分がメインとしているサックスプレイヤーの活動に支障をきたすことなく講師の仕事を続けられています。仕事を増やしたいと思った時はレッスン数を増やすこともできますし、ツアーなどが入る時は事前に調整もできるので、EYSに自分が近づくことも、程よく離れることもできるのは魅力ですよね。
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現場で培ってきた経験が生徒へのアドバイスとして役立っている
ー伊藤先生は生徒さんからの評価も高いですが、工夫されていることはありますか。
他の先生と違って、長年現場を渡り歩いてきた人間なので、現場で培ったノウハウや勘所、そこで気づいたマイルールを惜しみなく教えてあげるようにしています。
例えば、生徒さんが演奏の練習や、コンサートで失敗した時は、自分の経験から得た学びが役立つことが多いですね。自分の経験として、ライブやコンサートの演奏ももちろん緊張しますが、一番は撮り直しができないテレビでの演奏でした。そんな緊張をする場面を自分で何度も経験し、失敗してきたので、生徒さんが緊張して失敗する時にどんな心情なのかがやっぱりわかるんですよね。最短で基礎を身に付けるためのノウハウから、実際のライブや演奏の場でも使えるメンタルの保ち方についても、惜しみなく教えることができています。
ーオリジナルのカリキュラムはどんなものを用意していますか。
最近力を入れているのは、カラオケ・レッスンができるカリキュラムを作ることですね。
演奏する曲の中で、練習したいサックスのパートだけミュートして、その他のピアノなどの伴奏が聞こえるような曲を用意するんです。そうすると、周りの音を聞きながら自分のパートを練習できるので好評ですね。特に初心者の方にとって、ジャズの音はやっぱり聞いてみないと実感がわかないということが多いので、生徒さんがやりやすく、上達しやすいような工夫を常に考えながらカリキュラムを作っていますね。
ー今、講師を目指している方にメッセージをお願いします。
何でもやってみて、初めてわかることが多いと思っています。EYSには音楽活動と講師業を両立するための仕組みは用意されているので、チャレンジしがいのある環境だといえますね。報酬については、体験レッスンの入会率や充足率などが加味され、総合的に評価されます。また、定期的な見直しもあるので、努力次第では報酬をアップさせるチャンスがあります。講師にとってはプレッシャーにも捉えられるかもしれませんが、むしろ自分に甘やかさずに済むので、むしろいいプレッシャーになると思います。